alternativeⅡ
訓練を終え、ほどよい疲労感と心地よい汗を流したものの、本来の目的である眠気は訪れなかった。

冴えてしまった目は、一向に瞼を重くする事がない。

「さて、どうしたものか…」

思案に暮れるアレクセイ。

「それでしたら」

パンとマーガレットが手を打つ。

「このままお月見というのは如何ですか?今夜は満月が綺麗でしたよ」

そういえば彼女も眠れず、月夜の散歩だと言っていた。

無理に訓練に付き合わせてしまったのだし、今度はアレクセイが彼女に付き合うのが筋というものだろう。

「寝る時間も惜しいのでな。少ししたら部屋に戻らせてもらうぞ?」

義理堅いのだが、女性の誘いを『寝る時間惜しさ』と比較してしまう辺りが堅物な彼らしい。

またも苦笑いしながら、マーガレットは練武場の外に出た。

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