alternativeⅡ
夜になると空気はピンと張り詰め、息も白く凍りつく。

デルタフォースの訓練の場だ。

わざと苛酷な環境下に本部が置かれているのだろう。

しかしマーガレットの言う通り、夜空に浮かぶ満月は事の他素晴らしかった。

澄み切った冬の空気が、月光を際立たせているのかもしれない。

「ね?見に来てよかったでしょう?」

マーガレットがアレクセイの顔を覗き込む。

「うむ。確かにな。君には感謝しなければな」

微笑みを浮かべて頷くアレクセイ。

…だが、もう時計の針は午前1時を指し示しつつある。

「さぁ、そろそろ戻ろう。明日の訓練に遅刻する」

踵を返すアレクセイ。

マーガレットもそれに続こうとして。

「……あれ?」

彼女は空を見上げた。

煌々と輝く満月。

その横を掠めるようにして、夜の闇を切り裂く流星。

流星は次第に大きさを増していき…。

「…!…マーガレット、走れ!」

アレクセイが叫んだ!

「近くに落着するぞ!」

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