alternativeⅡ
その士気をくじくように。

「その輸送艦なんだけどよ」

一人の兵士が言った。

「モスクワ管区に向かう前に、一度このリトルクリーク基地に立ち寄るらしい」

「は?何で?モスクワ管区と真逆じゃねぇか」

その問いかけに、兵士は表情を顰めた。

「宇宙鉱石と一緒に、『失敗作』もモスクワ管区に移送するんだとよ」

『失敗作』

その一言で、この基地の人間には話が通じた。

「現在計画中の『Operation Sunset(落陽作戦)』に投入するつもりらしい」

「アイツをか?何とも無謀な案だな」

兵士は地下へと続く階段に視線を送った。

「あの失敗作が、まともに戦場で機能する訳がねぇだろうに…」

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