alternativeⅡ
そんな思考に陥っている所に。

「!」

医務室のドアをノックする音が聞こえて、妃は現実に引き戻された。

誰だろう。

また診察希望者かしら?

モスクワ管区はAOKとの戦争の激戦区の一つだ。

怪我人も絶える事はない。

「どうぞ」

治療の準備をしながら入室を許可した妃の前に現れたのは。

「失礼します」

軍服を身につけた士官だった。

国連軍モスクワ管区諜報部の男性士官。

かつてはKGB(ソ連国家保安委員会)に所属していた情報収集のプロフェッショナルで、AOK大戦開戦後はAOKの情報収集活動につとめていた。

彼が来るという事は、治療ではなく任務の話だ。

「妃博士」

男性士官は、写真の入っているらしき封筒を掲げる。

「クリスマスプレゼントを持ってきました…あまり歓迎されない類のね…」

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