alternativeⅡ
妃の表情が硬くなる。

「歓迎されないのがわかっているのならお持ち帰りいただきたいけれど…」

医務室の扉を閉め、白衣を翻して椅子に腰掛ける。

スラリとした細い足を組む姿は魅力的で、堅物の男性士官でさえしばし見惚れてしまう。

「任務である以上、そうもいかないわよね…さ、聞かせてちょうだい、サンタさん」

涼しい目線で、口元をキリッと引き締める妃。

男性士官も気を引き締め、『極秘』と判を押された封筒の中から写真を取り出した。

「…国連軍お得意の衛星写真かしら?」

写真を受け取る妃。

「代わり映えしなくて申し訳ありません」

ジョークとも取れる返答を返す男性士官。

…彼の前で、妃は写真に視線を向けた。

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