alternativeⅡ
現地に赴いて測定した訳ではないので正確さには欠けるが、このAOKの巣穴は深さ数百メートルに及び、内部には多くの兵隊AOKと幼体のAOK、そして夥しい数の卵があると予測されている。

複雑に入り組んでいると思われるその巣穴は、さながら蟻の巣のようになっているという事だ。

「核爆弾でも巣穴に見舞ってやりたい所ですが…」

男性士官が言うが。

「冗談じゃないわ」

妃はその提案を却下した。

「相手は地下に潜んでいるのよ?核爆弾でも確実に根絶やしに出来るとは限らないわ。それに放射能汚染でカナダの二の舞になるのは目に見えている。奪還した土地が死の大地になったんじゃ本末転倒だわ」

核によるAOK殲滅は、本当に手立てがなくなった時の為の最終手段だ。

安易に核兵器に頼るべきではない。

それに日本での国土奪還作戦『Operation Daybreak』での前例のように、AOKは群れのリーダーを討たれる事で戦意を喪失する事も確認されている。

地球の環境を守る為にも、核の使用は極力避けるべきだった。

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