alternativeⅡ
「失礼ですが」

男性士官が妃に訊ねる。

「妃博士、少しは戦闘訓練受けましたか?幾ら妃博士が『Operation Sunset』に戦術アドバイザーとしての参加だとしても、実際に部隊の一員としてAOKの巣穴に潜入する事になるんですから…」

「わかってるわよぅ」

頭を抱える妃。

とはいえ、彼女は文武両道というタイプではない。

国連軍に所属しているものの、妃の役目は軍医とAOKの生態研究、それを基にした戦術考案だ。

荒事は専門外なのだ。

部隊参加に伴い装備品は支給されたものの、まだ90式歩兵強化装備に袖を通した事さえない。

「『Operation Sunset』はこのモスクワ管区を拠点にするんです。今に各支部から選抜された完全抗体保有者達が集まってきますよ?」

「わかってるってば!」

急かすように男性士官が言うものだから、妃もつい声を荒げてしまった。

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