夕焼けの下で
そんな祐一に何も出来ない紗季は、自分がもどかしかった。そして、一緒にいるようになって1ヶ月がたった。

紗季は、久しぶりに親友の美咲とカフェへ向かっていた。

「そういえばさ、紗季。あんた最近、秦野くんと一緒にいるんだって?」

歩いてる途中で突然、美咲が問いかけてきた。それに対し紗季は、小さく頷いた。

「……」

美咲は、無言のまま深く溜め息をついた。

「なっ、なんなのよ。その溜め息は!」

「あんた…あんまり秦野くんと一緒にいない方がいいよ。」

聞き返す紗季に美咲は、心配そうな表情を浮かべて言った。

「…どうして?だって…秦野くん、無理してるから…」

いつも悲しい目をしている秦野くんを思い出しながら紗季は、言い返した。

「…それはわかってる。でも、私は、秦野くんが紗季の優しさに甘えてるような気がするの。」

じっと紗季を見ながら美咲は言った。祐一がまるで紗季の優しさを利用しているみたいだと…

「美咲が私のことを心配してくれてるのは嬉しいけど…でも、秦野くんはそんな人じゃないよ。」

紗季は、秦野くんを庇うように言った。

「まぁ、今の秦野くんは辛い思いしてるから私もあまり言わないよ。でも、気をつけて…。」

そして、紗季たちは、カフェでお茶をしてショッピングを楽しんだ。その間、紗季は、美咲の言葉をずっと考えていた。

美咲と別れ家へ帰る途中、突然携帯が鳴り響いた。ディスプレイを見るとそこには祐一の名前が記されていた。
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