恋するサンタクロース
「こんな群衆の中じゃ話も満足にできねぇし、店ん中に移動すっか。 譲ちゃん、時間はあるかい? なに、そこにうずくまってる兄さんみたいなことはせんから安心しな」

男性に提案されて少女は時計を見る。

まだ、姉との待ち合わせには多少の時間が合った。

「え、と大丈夫です」

「そうか。 じゃあ、行くとするか。 おい、朝霧、おまえは警察に連絡して事の次第を説明してから来い」

警察の2文字が出た瞬間、それまで動きを見せなかった男が立ち上がって駆け出した。

「あ、ちょっ、おまえ待てや!」
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