恋するサンタクロース
「おい、朝霧。 早くしないとケーキが溶けちまうからとっとと行って来い」

耳まで朱に染まっている長門を店長が急かす。

「……はい……リョウカイデス……」

何かが抜けたようにフラフラとした足取りで長門は店の奥に入っていった。

彼をそんな状態にした店員は素知らぬ顔で通常業務に戻っている。

店長も奥の厨房に行ってしまい、店内にはようやく店員の言葉の内容を理解して、混乱する思考をまとめようとするエレナだけが残された。
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