恋するサンタクロース
そう言って有無を言わせる間も与えず男は少女の腕を掴んで道の端へ向かおうとする。

人気のない方へ。

「だ、大丈夫ですっ」

身の危険を感じて腕を振りほどこうとするも力の差は明らかかつ無常で。

踏みとどまろうとした両足も虚しく、少女は暗がりへと引きずられていく。

過ぎ行く人々は流れを横断しようとする彼女と男に迷惑そうな視線を投げるだけで助けてはくれない。
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