あの日、あの時、あの場所で。【短編】
だからさっき、彼の声を聞いて、身体が痺れたんだ。
あたしに向けられた手に
言葉に、
身体が痺れてしまって
動けなかったんだ。
「……い。」
「…え?」
「…辛いです....」
どうしてだか、あたしは今まで誰にも弱音を吐いた事がなかったと思う。
弱音を吐いて、今のこの状況が悪化するかもって…
思ってたんだと思う。
グイっ
突然、あたしの身体中に手に感じていた暖かさが伝わった。
…抱き締められてる。
あれ、
人ってこんなにも暖かかったけ?
“君のぬくもりに涙が出た”