あの日、あの時、あの場所で。【短編】
Ⅱ
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「あの…、本当にスミマセンでした…」
あたしは頭をぺこりと下げて、謝った。
「いや、別にいいけど…」
本当に情けない。
てか、恥ずかしい。恥ずかしくて穴があったら入りたい。
あたしは無我夢中で走っていた時、おもいっきりこの人とぶつかってしまった。
しかもなかなか起き上がらないあたしを気遣い、わざわざベンチまで運んでくれて、暖かい飲み物まで買って来てくれた。
「なかなか起き上がらないからマジでビビったよ。」
「…スミマセン。」
あたしはもう一度頭を下げた。助けてくれた?人は20代と思われる男の人。茶髪のふわふわした髪をワックスではねさせ、耳にはシンプルなシルバーピアス、服装はラフなTシャツにパーカーにジーンズ姿の結構なイケメンさんだった。