あの日、あの時、あの場所で。【短編】
あたしはふと自分の持っている缶ジュースを見て慌てて彼の方に顔を向けた。
「あ、のっ…」
…いけない。
かんでしまった…
あたしはどちらかといえば人見知りな上、奥手だ。
もちろん初対面の人とベラベラ喋れるような性格ではない。
しかも相手は年上の見ず知らずの男性。
それもイケメンさんと来た。
「ん?どうした?」
なかなか話出せないあたしは思わず下を向いてしまう。
でも彼は何も喋らず、まるであたしが喋り出すのを待ってくれているかのように顔をこちらに向けていた。