「いたずらっこ。」クリスマス


サンタクロースが突然笑った。

トナカイは無視している。

早く空腹をどうにかしたい、とそれだけを思っていたのだ。


サンタクロースは何やらリストを読んでいるようだった。


「スレイプや。すまないのう。妖精の家にも行かなければならないようなんじゃ」

「はぁ?」

「ふぉっふぉっふぉ! もうひとふんばり、じゃよお!」


妖精。総てのものには精霊が宿っている。

人工物でさえ、元素(げんそ)が自然界にあるならば精霊は宿るのではないだろうか。そして、その数は膨大な人数であるということがわかる。


トナカイは走るのを止めてしまった。


「サンタさん!」

「おっ? なんじゃ?」

「はらぺこですっ!」


怒り心頭で、どうしようもなくなって。トナカイは涙目になっている。


サンタは驚きこそしているものの笑顔は絶えていない。余裕綽々(しゃくしゃく)の風だった。

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