「いたずらっこ。」クリスマス


食べ終えたトナカイは紅茶を飲みながら言った。


幾分(いくぶん)ではあるが、落ち着いている様子で穏やかな声だった。


「サンタさん、行きましょうか?」

「そ、そうじゃのう……帰ったら生クリームを食べさせてやろう」

「えっ。ありがとうございます…………」


思いもよらぬ、意外な人物の親切。

人生を豊かにしてくれるそんな偶然だが、偶然はどこにでもあるのだろう。

きっと、探さないだけだ。

一歩外に出てみたならば素晴らしいカラフルな世界が広がっていることだろう。


トナカイは妖精たちに挨拶をして回る。

プレゼントをサンタから貰った妖精は、とても嬉しそうだった。

暖かな部屋の中で興奮を抑えきれずに包装を破(やぶ)き。

開けてみれば奇跡の魔法が詰まっている。

パンドラの箱とは違い、一年の安息や幸福がうんと詰まっているのだ。


これは著者の考えだが、きっとどんなプレゼントにも幸福は詰まっていることだろう。

見えないものだから、感じることは難しいかもしれない。

だが。

プレゼントという幸運は好意ある行為であるからして、素直になることができれば嬉しく思えるものになるかもしれない。


複雑になるのは、感情が混じるからだ。


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