Voice
「…美紀。」
私は、とりあえず名前だけ、
名乗ることにした。
「美紀?
本当にごめんね。
なんだか急いでたんでしょ?
これから、用事でもあった?」
声からして、
心配そうなのが伺えた。
外を眺めながら、
嫌みったらしく言った。
「…別に何も。
早く家に帰りたかっただけだし。
第一、あなたみたいに、
撮影とか何とかで、
忙しいわけじゃないから。」
すると、ベルは突然、溜息をついた。
「ごめんなさい。
私、
本当は…逃げようとしてたの。」