Voice
「美紀!おはよ!
見たよぉー!昨日のやつ。
すごいじゃん!!
いつの間にか、有名になっちゃって!」
…うん。
この子だけは、昔から、こうだったよね。
いつもと変わりなく、仲良しの優は、
勢いよく走って来て、嬉しそうに、そう言った。
私は、苦笑しながら、言った。
「ありがとう。
でも、全然すごくも、何でも無いよ。
ただ、ピアノの伴奏しただけだし。」
すると、優は、大きく首を振った。
「なぁに、言ってるのよ!
お馬鹿ね!!
すごいに、決まってるでしょ?!
梓君の待望の新曲を伴奏しちゃって、
しかも、全国放送の前で
梓君直々に紹介してもらったんだよ!
こんな凄い名誉なこと、絶対に無いって!」
そんな優の話に、
周りにいたクラスの人達も、
「そうそう!」と、頷いた。