Voice



「へーくしゅん!」




…間が悪いとはこういうことだ。

真剣な空気が、流れているというのに、

我ながら豪快なものだった。







その重大さに気付いて、口を抑えた時には、



時既に遅し。




スタジオ中の視線を、集めていた。






…その時!




スタッフの一人が、

大変なことに気付いてしまった。





「あっ!

その制服!

梓君と同じ櫻木高校のじゃないか?!」





すると、社長は立ち上がり、私の制服を見た。





「…気付かなかった。

よく見ればその制服!!

君は、櫻木高校の生徒なのか?!

そして…もしかして、もしかすると、

芸術科の音楽…しかも声楽コース?!?!?!」





「ええ…まあ。」





そう。

櫻木高校と言えば、芸術科、


が有名な所なのである。




音楽や絵画、他にも芸術と名の付くもので、

大勢の有名人が卒業している。





その中には、もちろん芸能人も多い。






特に歌手とか…。










…ん?

ちょっと待て。

なんだか、嫌な気がするゾ。





私が、そんな事を考えていると、

社長が、目の前にやって来た。




「そうなのか?

そうなんだね!」




社長は、私とベルの腕を引っ張り、

そして、猛スピードで走り出し、



スタジオを出て、ベルの楽屋に連れて来た。


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