Voice
ワンシーンごとに
メイクさんがきて、
パタパタと粉を塗って、
顔を整えてくれる。
さて、
次のシーンは確か…。
「美紀!」
振り向くと、
遠夜がいつもの笑顔で立っていた。
「大丈夫?疲れてない?」
そう。
遠夜と響子さんと私が絡むシーン。
「うん。全然平気!」
わたしも
いつもの笑顔でそう言ったのに、
遠夜は
私を見て、
苦笑いして…。
「…ごめん。美紀。」
そう言った。
「えっ…?」
「昨日のことで、
気を使ってるだろ?」
゛ドキッ。゛
どうして…わかるの?
図星の私は
何も言えなくなった。
「昨日は、
美紀がいなくなって、
混乱してて…。
…美紀が
そんな悲しい顔する位なら、
もう和解するから。
だから、
そんな顔しないで。
いつもの美紀でいて?」
遠夜は
笑顔で
…でも、
少し悲しそうな表情で言った。
「…遠夜…でも…。」
「…梓!」
遠夜が
突然、
少し離れた場所にいた梓を呼んだ。
「少し話しがあるんだ。
ちょっといい?」
怪訝そうな顔をした梓は、
「何だよ。」と、言った。