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23.風邪③
○23○
こんなに寝たのは、
いつ以来だろ?
と言うか、
風邪を引いて
こんなに
体がダルいのも久しぶりだなぁ。
小さい時は、
よく風邪を引いて、
お母さんを心配させたっけ?
熱でうなされる
私のおでこを
何度も冷たいタオルで冷やしてくれて。
時々、タオルを取っては、
おでこや首の後ろを触って、
熱が高いか確認してくれた。
いつも、
暖かいお母さんの手。
そんな優しくて
ちいさい手の平が、
今日は、
なんだか大きくて…。
「…全然下がらないな。」
…ん?
低い声?
お母さんしゃない?
誰?
重たい目を開くと、
いつもより、
くすんだ天井と…。
「お、起きたか?」
「…ん?…えっ?」