Voice
「…梓が…あいつがさ、
俺より先に、歌手でデビューしたんだ。
俺とアイツは、
事務所に入ってからの親友謙ライバルでさぁ。
このままじゃ、駄目だ!!
一刻も早く追いつかなきゃ!!って。
…でも、これじゃあライバルも糞もねーよな。
正体は隠してるし、女々しいし。」
遠夜は、笑って言った。
その表情からは、悲しみが伝わってきた。
私は、首を振って、必死に言った。
「そんな事無いって!
遠夜凄いよ!!!
私ね、遠夜の声聞いた時、
本当に感動したもん!!!
私の知らない世界で、
こんな凄い人がいるのぉ?!ってさ!!
ホント自信持ちなって!
私に言わせれば、梓って人の歌なんか、
知らないし、感動しないもん。」
私は胸を張って、大声で言った。
すると、遠夜は一瞬ビックリした顔をしたけど、
次の瞬間、お腹を抱えて笑いながら言った。