大切なモノ
*prologue
「お母さーん!!」
「なぁに、綾乃・・・って、全然片付け終わってないじゃない!!
明日までに全部荷物送っちゃうんだから、早くしなさい!!」
「違うの!見て、これ」
そういって、綾乃が出したのは、綺麗な、黒い6個の石だった。
「それ・・・」
どこにあったの、と驚きながら聞く。
母親は、もうずっと前に捨てたと思っていたからだ。
「やっぱり、お母さんのだったんだ!
こんな綺麗な石、どこで見つけたの??」
良いなぁ~、と言いながら、綾乃は石を眺める。
母親が何か言おうとしたところで、綾乃の父親が部屋に入ってきた。
「葵、ガムテープってどこにあるか知ってる?」
「ガ、ガムテープね!そこにあるわよ」
葵、と呼ばれた母親が、少し焦りながら話す。
「どうかしたの?」
葵の異変に気付いた父親が聞く。