大切なモノ
「あ、お父さん見て!!お母さんの物なんだけど、綺麗な石でしょ!!」
父親が部屋に入ってきたことに気付いた綾乃が、私が見つけたんだよと言いながら父親に石をみせる。
「これは・・・」
綾乃から石を受け取った父親は、驚いた。
「なんだ、お父さんも知ってたの?つまんないな~」
そういいながら、綾乃は片づけを再開させる。
「綾乃、これ、どこで見つけたんだ?」
片づけをする綾乃の背中に、父親が聞いた。
「え、普通にタンスの奥にしまってあったけど・・・」
「そうか・・・」
綾乃の返事を聞いた父親は、少し考え込んだ。
なぜこの石がここにあったのか、分からなかったからだ。
「何、大事なものだったの?」
綾乃が不思議そうに聞く。
「・・・逆よ。その石は、ここにあってはならないものなの」
綾乃の母、葵がそう答えた。
「え、意味わかんない。
この石は、なんなの?」