大切なモノ
「その石を見たら、急に昔のことを思い出しちゃったよ。
葵、綾乃ももう中学生だし、俺たちの昔話をしてあげようか。その石のことも」
「え、何それ!!聞きたいっ!」
「そうね・・・綾乃には、私のような青春時代を過ごしてほしくないから・・・」
お茶を飲みながらゆっくり話しましょう、と葵は部屋を出て行った。
それに綾乃と父親も続く。
「ねえ、お母さんは昔、どんな人だったの?」
歩きながら、綾乃は父親に聞いた。
「そうだな・・・・
地味で、少し暗かったけど、まじめで、何事にも一生懸命取り組む人だったよ」
「へぇ・・・今のお母さんからは想像できないや」
そう言って、綾乃は葵の待つ部屋に入っていく。
父親は綾乃の言葉に苦笑いしながら、綾乃の後に続いた。
部屋に入ると、葵がお茶を淹れて座っていた。
父親が席に着くと、葵は口を開いた。
「さぁ、何から話そうか・・・」