ふたりだけの特別な絆

ベッドの傍にやって来ると、悠哉さんは着ていたコートやスーツの上着をゆっくりと脱いで、布団へと潜りこんだ。


かなり体調は悪そうで、息遣いも先ほどより荒い。


あ…
ネクタイしたままだと苦しいよね…きっと。


少しでも体が楽になるようにしなくちゃ…。


「ゆ、悠哉さん…。ネクタイ…緩めますね…。」


小さく頷く悠哉さんを見ながら、ネクタイに手を伸ばした。


……そういえば、ネクタイって…どうやって緩めるんだろう…?


え、えっと…お父さんって、どんな風にやってたっけ…。


頭の中で光景を思い出しながら、ネクタイに触れた。




「陽菜…ネクタイ締まってる…。苦しいんだけど…。」


途端に聞こえてきたのは、悠哉さんの低い声。


「えっ!?す、すみませんっ!!」


私が慌てて手を離すと、悠哉さんは自分でネクタイを解いて枕の傍に置いた。


もう…
こんな時に何やってるんだろう…。


ネクタイを緩めるどころか締めちゃうなんて…恥ずかしい…。


悠哉さん、イラッとしただろうな…。


気まずくなった私は顔を俯けた。



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