ふたりだけの特別な絆

「どうした?」


驚いている悠哉さんから視線を逸らす。


そして、繋がれた手を見つめた。


「えっと…手は繋がない方がいいと思うんです…。それに…なるべく離れて歩きませんか?」


「なんで?」


悠哉さんは、スラリと伸びた背を屈めて、顔を覗き込む。


心なしか、表情が不服そうな感じに見えた。


「…人が多いですし、ひょっとしたら、また誰かに…私と悠哉さんが手を繋いでいる姿を見られちゃうかもしれないじゃないですか…。」


そんなことになったりしたら、新聞部の部長さんたちが、すぐに噂を聞きつけて…前よりパワーアップした事情聴取を仕掛けてきそうだもんね…。


悠哉さんの目をまともに見れず、視線を泳がせた。


すると、頭の上に優しくのせられた温もり。


それが悠哉さんの手だと分かるのに、時間は掛からなかった。


「悪いけど、そのお願いは聞けないな…。俺は…陽菜の傍に居たいし、手も繋いでいたい…。だから離れて歩くのは無理…。」


頭を撫でられた私は、逸らしていた視線の焦点を悠哉さんに合わせる。


真っ直ぐ見つめる瞳に、ドキッと激しく心が震えるのを感じた。



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