ふたりだけの特別な絆
囁きかける声が鼓膜を震わせる。
私は、ビックリして両肩が勢いよく上がってしまった。
「ゆ、悠哉さんっ!耳元はダメだって前から言ってるじゃないですか!!」
「だって、陽菜が周りの様子ばかり伺ってるからだろ?今、傍に居るのは俺なんだから、もっと興味持ってもらいたいんだけどな。」
「きょ、興味…って言われても……」
ドキドキしちゃって、それどころじゃないよ…。
言葉を途中で濁すと、悠哉さんはピタリと足を止めた。
「…手強そうだよな、陽菜は。」
「へ…?」
悠哉さんの言葉の意味が分からず、頭上にポカンと疑問符を浮かべた。
「俺、陽菜に興味を持ってもらえるように頑張るよ…。」
そう言って笑顔を向けた悠哉さんは、こめかみの辺りにキスを落とした。
たくさんの人が行き交う中で、堂々と。
おかげで、私の顔は沸騰しそうなほど熱を帯びてしまった。