ふたりだけの特別な絆
そう言って、微笑んだ水澤さんだけど…
その笑顔は…なんだか寂しげな気がした。
ど、どうしたんだろう…。
「水澤さん…?あの…」
戸惑いながら声を掛けると、水澤さんはハッとした表情を浮かべた。
「あっ、ごめんなさい…。今のは、独り言みたいなものだから…忘れて?」
「は、はい……。」
焦りながらお願いをされた私。
ぎこちない声と共にコクンと頷くと、水澤さんは悠哉さんへと視線を移した。
「如月課長、お引き留めしてしまって…すみませんでした…。私、もうすぐ友人との待ち合わせの時間になるので行きますね…。失礼します…。」
「あ、ああ…。」
水澤さんはペコリとお辞儀をする。
一旦…私たちに背を向けて歩き始めたものの、直ぐに、こちらへと振り向いた。
「あ、あのっ…課長!今度の会議と出張…、色々とお世話になるかと思いますが、宜しくお願いします…。」
「こちらこそ、宜しくな。」
その返事に水澤さんはニッコリ微笑むと、足早に歩いて人ごみの中へと消えていってしまった。