ふたりだけの特別な絆
ニンマリと笑っている悠哉さんに、フルフルと慌てて首を振った。
「ちがっ…、違います!別に…そういうつもりは……」
「陽菜に妬いてもらえるのって、かなり嬉しいかも。俺も少しは陽菜の心の中に入り込めてんのかな。」
うぅ〜
違うって言ったのに…。
私は、ふと気になったことを聞いただけだもん…。
それは…妬いてるっていうのとは違うよね…。
多分…。
ニコニコと嬉しそうな表情の悠哉さんから視線を逸らして、私もシートベルトを外した。
「わ、私…そろそろ家に入ります。夕ご飯の時間帯ですから。」
「そうだな。」
悠哉さんに、これ以上…追及されないようにしようと、私は話を逸らして素早く車から降りた。
「急いで夕飯の準備するよ。冷蔵庫にあるもので適当に作るけど、それでいい?」
「はい…。あ、ありがとうございます…。」
悠哉さんも車から降りて、私の後に続いて家の前までやって来る。
鍵を開けて、中に入ろうとした時だった。
「あっ!陽菜ちゃん…。」
突如、聞こえてきた男の子の声。
あれ?
なんだか、懐かしい感じ…。
聞き覚えのある声に、ゆっくりと振り向いた私は、家の前の道に立っている人物に目を見開いた。
「か、翔琉(カケル)くん…!?」