ふたりだけの特別な絆
「んじゃ、部屋で着替えてくるからな。」
「あっ、悠哉さんっ!」
ゆっくり歩いてリビングを出て行こうとする悠哉さんをすかさず呼び止めた。
「ん?」
「あの、明日…学校帰りに、友達の女の子と翔琉くんと私の3人で、この近くにある公園に寄ることになったんです。」
「ふーん、そうなんだ。」
返ってきた声は、心なしか素っ気なく聞こえた。
「た、多分…3人で色々とおしゃべりすると思うんけど、悠哉さんの帰宅時間より遅くなることは無いと思いますから…。な、なるべく早く帰って来ますので。」
…って、あれ?
なんで私…わざわざ悠哉さんに明日の予定を話してるんだろう?
別に黙っていても良かったはずなのに…。
なんか…自然と口から言葉が出てきちゃったんだよね…。
自分の無意識な行動に戸惑っていると、悠哉さんは微笑んだ。
「了解。せっかくだから、たくさんお喋りして楽しんで来いよ?」
「は、はい…。」
そう言って、リビングを出て行く悠哉さんの後ろ姿に向かって、私は気の抜けたような変な声を出してしまった。
い、意外…。
なんとなく、否定的な意見が返ってくるかな…と思ってたのに…。
思いっきり笑顔だよ、悠哉さん…。