ふたりだけの特別な絆
「あの…悠哉さん。」
「ん?」
「今日、お仕事…早く終わったんですか?」
黒いセーターに薄手のグレーのマフラー、そしてジーンズ。
ラフな私服姿の悠哉さんにチラチラと視線を向けた。
「ああ。意外とスムーズに片付いたから、早めに帰宅したんだ…。」
「そうだったんですか…。」
「まだ陽菜も帰って来てなかったから、ちょっとコンビニに行って買い物して、その帰りに、散歩がてら公園に寄ったんだよ…。」
悠哉さんは片手にさげていたコンビニの袋を揺らした。
散歩…だったのかぁ。
でも、コンビニと公園…方向がまるで違う場所だから、帰りに寄るような位置関係じゃないんだけどな…。
ま、まあいっか。
悠哉さんの気分で、こっちの方まで散歩しに来ただけだよね…多分。
自分の中で勝手に納得させた。
「今日、楽しかったか?」
「はい!昔の話とかも色々と出来たので楽しかったです!」
「そっか…。良かったな。」
穏やかな声で話す悠哉さんは私を見つめながら歩く。
その表情は優しく微笑みながらも、どことなく…寂しさを帯びてる気がした。