ふたりだけの特別な絆
「えっ、あの…悠哉さん?」
パッと悠哉さんの方に顔を向けると、穏やかな笑顔で私を見ていた。
「ココア、陽菜に喜んでもらえて良かった…。」
優しい声に、心がドクン…と波打つ。
悠哉さんに聞こえてしまうんじゃないか…と思うほど大きな音。
出来れば少し離れて歩きたい…。
そんな風に思ったけれど、悠哉さんはピッタリと体が密着するぐらいに私を引き寄せた。
「ゆ、悠哉さんっ!?」
「こうやって歩く方が、もっと温かいだろ?」
サラッと微笑みながら言う悠哉さんに、口をパクパクさせてしまった。
確かに、触れ合ってる方が温かいけど…
近過ぎてドキドキが半端ないよ…。
緊張感が体を駆け巡り、ペットボトルを握る手が少し震えてしまった。
「陽菜、手…震えてる。寒い?」
そんな私の様子に気付いた悠哉さんは、心配そうに顔を覗き込む。
「ち、違うんです。そういうわけではないので、気にしないで下さいっ!」
私はフルフルと首を横に振った後、少し歩くスピードを速めた。
早く家に帰らなくちゃ、心がもたないよ…。
月明かりが照らす道。
悠哉さんから伝わってくる温度で、私は温かさを通り越して、体が火照るぐらい熱くなっていた。