ふたりだけの特別な絆
「翔琉くん、どこに行くの?」
「西棟の屋上…かな。あそこなら、二人だけになれそうだから…。」
私のペースに合わせて、ゆっくり歩く翔琉くんは、笑顔で答えた。
西棟って…日中も授業で使うことが殆どないし、放課後は幾つかの同好会がたまに使用する程度。
少し古い校舎だし、来年…建て替えることもあって、普段からあまり生徒がいないんだよね…。
そこに行くのかぁ…。
ん?
ちょ、ちょっと待って!?
ふ、二人だけって…
それって…
まさか人前じゃ言えないぐらい、深刻な話なのかな…。
もしかして、私…翔琉くんに何か迷惑かけるようなこと…したのかも。
うーん…。
でも、心当たりは特に無いし…。
私は、ますます話の内容が気になってしまった。
そんな中、翔琉くんは私の手を繋いだまま、西棟の方に向かって歩いて行く。
廊下ですれ違う女の子たちからは、キラキラとした視線が翔琉くんに注がれていた。
そう言えば、今日…お昼休みの時に明衣が言ってたっけ。
翔琉くん…転入してきてまもないのに、早速…女子にモテてる…って。
カッコいいし、優しいからなぁ…。
女の子たちに人気が出るのも納得だよね。