ふたりだけの特別な絆
それから、5分後。
私たちは西棟の屋上にやって来た。
誰もいない屋上は、とても静かで…
もうすぐ日が沈みそうな空は、鮮やかなオレンジ色に染まっていた。
「夕日、すごく綺麗だね!」
「うん。そうだね…。」
翔琉くんは、一度…夕日をチラッと見たものの、すぐに私の方に視線を戻した。
「でも、俺は…夕日よりも陽菜ちゃんを見ていたいな。」
「えっ!?」
思わぬ言葉に驚いてしまった。
「翔琉くんってば、何言ってるのよ!そ、それより…さっき途中ですれ違った女の子たち、みんな嬉しそうな表情で翔琉くんを見てたよ。」
恥ずかしくなった私は、咄嗟に話題を逸らしたけれど…
「そう?俺…陽菜ちゃんのこと考えてたから、全然気付かなかったよ。」
返ってきた言葉は、またしても私に関することだった。
どうしたんだろう…。
今日の翔琉くん、ちょっと雰囲気が違うような気が…。
私は戸惑ってしまった。