ふたりだけの特別な絆
「悪いけど、そのお願いは聞けないな。」
キッパリと笑顔で答えられてしまい、私は目を見開いた。
「どうしてですか!?」
「手を繋いでいたいから。」
何、その理由。
ここに来るまで、ずっと手を握ってたんだから、それで十分な気がするんですけど…。
私はチラチラと周りに視線を向けた。
「でも、さっきから人に見られてますよ?悠哉さん、気にならないんですか…?」
「ああ。全く気にならない。むしろ…」
ニヤリ…と笑みを浮かべた悠哉さんは、耳元に顔を近付けてきた。
「陽菜の傍に居るのは俺だっていうこと、周りに見せつけたいから。」
「えぇっ!?」
思わぬ発言に、私の口からは驚きの声が飛び出してしまった。
「どうして、見せつける必要があるんですか?」
「それはもちろん、俺以外の男に対する牽制。」
「へ?」
牽制って、何のために?
訳が分からなくて首をググッと傾げた。
「陽菜を独り占め出来るのは俺だけ…っていうこと、はっきり主張しておかないとな。」
悠哉さんは少し背を屈めると、私の前髪にキスを落とした。