ふたりだけの特別な絆
「えっ!?急にどうしたんだよ…。」
悠哉さんは驚いた表情を浮かべながら、私に近付けていた顔を離した。
「あの、私…予定変更して、家に帰ります…。」
「図書館まで、あと少しじゃん。」
悠哉さんは、チラリと図書館の方に視線を向けた。
「そ…そうなんですけど、ちょっと疲れてしまったので…帰って部屋で休もうかと…。」
「大丈夫か?もしかして、体調悪い?」
心配そうな眼差しで見つめられた私は、首を横に振った。
「ち、違います!そうじゃないんですけど……何とも言えない気力の消耗っぷりで……」
「気力…?」
「と、とにかく図書館は…また今度にします。すみません!」
これ以上…言葉の意味を深く詮索されないように、私は来た道を足早に引き返し始めた。
「陽菜?疲れてるなら、ゆっくり歩けよ。急がなくたっていいんだからさ…。」
優しく声を掛けながら、私の隣を歩く悠哉さん。
その気遣ってくれた温かい言葉にも、心がドキッ…と凄まじい勢いで跳ねた。