ふたりだけの特別な絆
「俺の名前…忘れてねぇよな?」
「えっ?一応、覚えてますけど…。如月 悠哉さん…でいいんですよね?」
質問の意図が分からず、ポカンとハテナマークを浮かべていると、男の人は笑みを浮かべた。
「正解。分かってるなら、名前呼んでよ。なんか…しばらく同居するのに、名前呼ばれないのも寂しい気がするから。」
寂しい…だなんて、そんな大袈裟な…。
別に、どう呼ぼうと私の勝手だと思うんですけど……。
不満たっぷりの視線を注いでいると、男の人は私の肩に手を置いて耳元に素早く顔を近付けてきた。
「陽菜…返事は?」
吐息まじりに囁かれた声で、私の心臓は勢いよく跳ね上がる。
「ひゃああっ!わ…分かりましたから、もう耳元で話すのは止めて下さい……如月さん!!」
私は、慌てて如月さんから離れて、ジワリと熱を帯びた耳たぶに触れた。