ふたりだけの特別な絆
鋭い痛みが走り、思わず声が出る。
包丁を直ぐにまな板に置いて、じゃがいもを押さえていた手を見ると、人差し指の先の方から血が出てきていた。
や、やだ…
ケガしちゃった…!
どっ…どうしようっ!!
傷口を見ながら動揺していると…
「大丈夫か!?」
私のすぐ傍にいた如月さんから心配そうな声が飛んできた。
「平気です…。」
そう強がってみたものの、痛いものは痛くて、私は顔をしかめる。
すると、如月さんにケガをしていない方の腕をパシッと掴まれた。
「な、何なんですか?離して下さいっ…!」
「ケガしてるんだから、真っ先に手当てだろ?陽菜、救急箱は?」
「えっ、いいです…!自分でやりますから…!!」
「誰かにやってもらった方が楽だろ?」
「でも……」
如月さんから腕を振りほどこうとするけれど、強く掴まれていて、全くビクともしない。
別に手当てなんて一人でやるからいいのに…。
そう思ったけれど、如月さんが、手当てをすることを譲らず、結局…私は救急箱の場所を渋々教えた。