ふたりだけの特別な絆
「そんな顔するなよ…。陽菜には、さっきまでの笑顔の方が似合ってる。」
「えっ…?」
「美味しそうに食べてくれていた時の満面の笑顔。あんな表情の陽菜、初めて見た…。」
そ、そんなに笑顔だったんだ、私…。
そういえば、如月さんには笑顔って見せてなかった気がするなぁ…。
「すげぇ可愛いな…って思ったよ。」
「えぇっ!!」
如月さんの予期せぬ言葉に体が大きく跳ね上がってしまった。
か、可愛いって…私が!?
どうリアクションを返していいのか分からず、黙っていると、如月さんはフッと笑った。
「陽菜は見ていて飽きないな。そういう女って、初めて会ったかも…。」
じっくりと視線を注ぐ如月さんに耐えきれず、私はガタッと勢いよく立ち上がる。
「あんまり見ないで下さい…。は、恥ずかしいので…。」
小さな声でお願いすると、如月さんはコクンと頷いた。
「了解。それじゃあ俺は後片付けするから、陽菜はリビングに行っていいよ。」
如月さんは、手早くお皿をまとめて片付けを始める。
その姿をなぜかジッと目で追っている私がいた。