ふたりだけの特別な絆

息が詰まりそうなほどの近い距離感とか、触れられた時の温度とか、苦手…。


心臓が飛び出しそうなほど、ドキドキするから…。


今にも震えはじめそうになる唇にキュッと力を入れると、如月さんはスッと指を離した。


「よし、とりあえず着替えて下に降りて来いよ。陽菜の分も朝食作ってあるから。」


「は、はい…。」


火照っているかのような唇に手をパタパタと動かして風を送りながら、ぎこちなく返事をした。


朝食、喉を通っていかない気がするなぁ…。


もう少し鼓動の波が落ち着いてから、ゆっくりと食べたい…。


「陽菜、どうした?なんか固まってるけど…。」


「あの…朝食なんですけど、私……」


「ん?朝食よりも早速レッスン…したいのか?」


少し時間を置いてから朝食を食べたい旨を伝えたかったのに…


思わぬ方向に勘違いされてしまい、私はブンブンと左右に首を振った。



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