超能力者だけの世界で。
―多彩町・中央区ー
廃墟地区。
薄汚い建物が残っている。
しかし、全ての建物が壊れて使われなくなったモノだ。
この場所にある人物達がいる。
「黒也…。チョッとは顔見せろよ。」
「…黒川赤次。」
黒いスーツの2人。
黒川赤次と闇原黒也。
黒川赤次の髪は長く乱れている。
赤い目をギラリ光らせ笑う。
闇原黒也はあの手紙によって黒川赤次に呼ばれたのだ。
「精神に乱れが感じられる。何かあったのか?」
「…何にもない。」
「お前の能力が暴走したら、誰かが『死ぬ』ぞ?それだけ、強い能力なんだからな。」
「分かってる。」
「何かあったら戻って来いよ?」
「…嫌だ。」
闇原黒也は彼に背を向ける。
その時、黒也の頭に何かが過る。
ソレは紅い暗い風景。
一番消し去りたい記憶。
紅い暗い風景の中に倒れているのは…彼の…。