超能力者だけの世界で。
《サード》
誰の姿もない廃墟の中に
黒川赤次は残された。
ゆっくりと立ち上がる。
そして、大きく背伸びをした。
この時、
既に足の傷は無かった。
「ヤバいことになったな…。」
黒川赤次は歩き始めようとした時だった。
懐かしい気配を感じる。
「よぉ、火野愛紗。用件は分かってるさ。」
「相変わらず、つまらない人ね。」
「お客さんも多いようだ。
澪原水流。
青崎氷河。
そして、磁波エレキ。
まぁ、知っといて損はない。」
赤次は瓦礫の山に座る。
火野愛紗は彼に近づく。
磁波エレキも愛紗の後についていく。
青崎氷河と澪原水流は、
廃墟ビルの屋上から降りて来た。
「待ってたよ。氷ちゃん。」
「赤次さん…。」
「あれ?エレキ?」
「澪原さん!」
黒川赤次は手を軽めに叩いた。
そして、口を開く。
「じゃあ、チョッと語らせてもらおうか。『昔ばなし』をね。」