超能力者だけの世界で。
黒条影介は立ち尽くしていた。
暫くして背後にいることに気付く。
「…、赤次か。」
「大丈夫か?黒条。」
「…ああ…。」
「?」
影介は明らかに変だ。
しかし、赤次は訊かなくとも分かった。
「ソイツが能力者か?」
「うん、そう。気絶させといた。」
容姿的に中学生ぐらいの少年だ。
精神は衰弱し、身体はボロボロ。
痛々しいにも程がある。
そして、何よりも…。
「黒条…。コイツ…。」
「…赤次、いいよ。早く病院に連絡して。」
影介は少年を抱える。
運ぶ準備を整える。
「分かった。」
赤次は携帯電話を取り出して外と連絡を取る。
影介は先に入口の方へ歩いていく。
少年の体は体重が無いくらいに軽い。
「…どうして…こんなことになった?」
2人は同じことを思う。
五区代表も存在だけって事か。
この町を守るのが俺達で。
でも、この町を管理しているのは…。
五区代表よりも最も強く神に近い者。
「《創始者》…か。」