超能力者だけの世界で。



―北区、中枢棟―



浅斬 漸は区代表の仕事をしていた。

しかし、今は急な来客の接待している。



「で、何故、貴方がココに来たんですか?」

「暇だし?無職だし?」

「嘘をつくな。貴方は公務員だろう。」



黒川赤次だ。
彼は窓からこの部屋に入ってきた。ちなみにココは5階。

何の為に来たのかは分からない。



「澪原水流は?」

「まだ来ていないですが?」

「オレより先にココに向かった筈だが?」

「彼はココには明日来る予定です。」



明日、来る予定。
しかし、澪原水流は確かに『今から』と言っていた。

漸は溜め息をつきながら黒川赤次に茶を出した。

黒川赤次は先輩。
一応、失礼のないように対応する。



「アイツは…何者だ?」

「私が語る権利はありません。」

「浅斬ー…。お前はお堅いな。」

「普通だと思いますが?」



漸は赤次が何のために来たのかが分かった。

澪原水流の事を探りに来たようだ。
しかし、言うつもりは一切無い。



「浅斬。澪原水流は『裏』か?」

「…言ったとして、貴方に得があるのでしょうか?私は彼を売ることはしません。」

「手強いな、お前は。」





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