超能力者だけの世界で。
嬉しそうな黒井颯心。
逆に変なオーラを放っている。
「戦えよ。」
「は?」
突然だ。
エレキは対応に遅れる。
目の前の少年は、
非常に好戦的な目をしている。
「強いヤツは大好きだ。因みに戦うのも大好きだ。」
「え…。」
「闇原さんが言ってたんだ。相当強いんだろうな。」
「いや、強くないですよ。」
エレキは、兄の言っていたことを思い出す。
『気を付けろよ。急に攻撃してくる奴等もいるから。』
(なるほど…。)
納得。
模範例がいるわけだから。
「どうしようか…」とエレキが考えていると。
…一瞬のことだった。
「相当、できる奴だな。」
「いきなりはルール違反ですよね?」
颯心はエレキの腹部めがけ蹴りを入れようとしたようだ。
反射的に後ろに軽く跳んで颯心と距離を置いて避ける。
恐ろしい人間が、また増えた。
警戒をするエレキ。
「今のお前は精神的に疲れているようだな…。」
「そうなんですか?」
「色々問題があって頭の中はゴチャゴチャ、整理もついてない状態だろ?」
「!!」
好戦的な少年は、エレキを見透かしたように話始める。
黒井颯心の能力によるものだ。
「大人なんて…自分勝手なんだよ。子供のことなんて考えちゃいないんだからな。考える方が馬鹿馬鹿しいぞ?」
颯心は吐き捨てるように言う。
鋭い目付きで。