超能力者だけの世界で。


ガラリと教室を開く黒川赤次。


「おら、2人とも。何やってんの?」

「…チッ。」

「こら、颯心。舌打ちするな。」


散らかっている。
砕けた机がちらほら見られる。

犯人は当然。


「颯心…。」

「…何?」

「これ、弁償だからな。」


磁波エレキは教室の隅で座っている。

赤次は颯心を見る。
何をしでかしたんだ。
監視カメラを視ていなかった数分で。


「おい、大丈夫か?」

「怖いですよ、あの人!!」


少年は彼に恐怖心を植え付けたようだ。
赤次は颯心を再度見る。


「…何やってんの。」

「何もやってねぇよ。」


駄目だ、コイツは。
先生は諦めた。

この学校の生徒で最強と言われている少年は、少々好戦的過ぎる。


「ちょっと遊んだだけだ。」

「お前の遊びは救いようがない。」


黒川赤次はエレキを見る。
動きが止まっている。

慌てて話かける。
反応がない。


「…寝てるのか?」


エレキに近づき、背中に背負った。
かなり深く眠っているようだ。


「はぁ?突然寝るって…まさか。」

「もしかするとだ。」


2人は、顔を見合わせる。
エレキの眠りは意図的なものだと。

邪魔する者を排除すると言っていた『烏』の存在。




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