超能力者だけの世界で。
とある少年は目を覚ます。
辺りを見渡す。
「あれ?ここは…?」
「おっ、大丈夫か?エレキ。」
少し離れた所に、スーツ姿の青崎氷河。
今まで学校にいたはずだ。
景色は見知らぬ場所。
「6年前ぐらいの多彩町だ。」
「というと…学生の時ですか?」
「ああ。そうだな。」
氷河は「とりあえず、歩き回ってみるか。」と言って歩き出す。
エレキは背中を追いかける。
「…涼しくないですか?」
先に進むにつれ、涼しさが増す。
氷河は立ち止まった。
遠いある日、この場所で。
目の前の狭い十字路の路面が凍りついていく。
「……そうか…。」
「青崎さん?」
「アレが前の俺さ。」
十字路の先。
1人の少年。
彼には2人のことが見えていないようだ。
倒れている同じ学校の制服を着た数人の学生の間に立っている。
「とことん荒れてた。売られた喧嘩は買ってし、売ってもいた。毎日な。」
表情一つ変わらない少年。
青崎氷河。
今よりも、総てに冷たさがある。
「闇原、澪原…2人とも誰より優れている能力者だったんだ。俺の居場所がない気がした。」
置いていかれる。
2人は凄い奴等だったから。