超能力者だけの世界で。


2人の会話は聞こえない。
けれど、本人は憶えている。


「明日、中央区のデパートに来てほしいって言われてるんだろうな。」

「どうしたんですか?」


落ち着かない様子。
エレキは今までに見たこともない様子の氷河を心配。


「…大丈夫って言ったら嘘になる。でも、大丈夫。」

「この後に何があるんですか?」


この質問にはノーコメント。
首に巻いてあるリボンに触れる氷河。
あの女性が髪を縛っているものだった。


「俺が…悪かったんだよ。ここからは…見ているといい。」


目を閉じる氷河。




場面がスッと変わる。


デパートの内装。
過去の氷河は買い物の手伝いをしていた。
あの女性が「ちょっと、用事があるの」と言う感じで氷河から離れる。

しばらく、過去の少年は椅子に座っていた。


「遅いな…電話してみるか。」


少年はケータイで電話をかける。
彼女は出ない。
おかしいと思い数回。


「?」


店内が騒がしくなる。
人のわめき声。悲鳴。
爆発音。


「どうしたんだ?」


近くに隠れていた店員に声をかける。


「今さっき、町の中の全ての電波をジャックして、五区代表を誘き出すために、ここの人を『全員人質にする』って宣言したんだ…。」

「そんな!!」


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