超能力者だけの世界で。
愛紗は更に無能力な彼女に近づいた。
耳元で囁く愛紗。
「でも、効果覿面の方法が1つあるにはあるよ。」
「何?」
「貴女が死ねばいいのよ。」
「!?」
愛紗は容赦なく相手の首を掴んだ。
無能力者に手を出さないルールは破り捨てられた。
「火野愛紗!?何をしている!?」
それに気づいた闇原黒也は近づこうとしたが、愛紗は炎の壁で部外者を入れないように細工した。
「おい!!」
「あはは、黒也。自分の心配をしてなさいよ。」
極寒は段々酷くなっていく。
下手をしたら死んでしまうだろう。
黒也は水流が倒れているのを見る。
「澪原!!しっかりしろ!!」
「ゴメン…動けない…。」
何とかして氷河をどうにかしなければ…焦りだけが黒也を襲う。
火野愛紗は何をしている?
頭に過る。
氷河の無差別攻撃に耐えながら考える。
ハッとして氷河を見る。
そして、隙を見つけ影の能力で地面に叩きつけた。
「おい、青崎。お前は彼女を助けなくていいのか?」
彼が正気を取り戻すためには、きっかけが必要だ。
黒也は能力で彼を縛りつけた。
「それとも、お前も一緒に死ぬか?」
芝居が嫌いな黒也は精一杯に嘘を吐いた。
無言、静寂。
苦しくなった黒也はもっと強く地面に縛りつけた。
「馬鹿が!!」
狂っている氷河に向けて怒鳴り付けた。
「…誰が馬鹿だよ…つーか…痛いんだけどよ?」
「何か幻聴が聴こえたなぁ。」
力を強めた。
わざとらしく。
氷河は痛いと何回も叫んだ。
「馬鹿はお前だ!!痛い痛い痛い!!」
「起きたか?心配し…」
黒也は途中で言うのを止めた。
危なかった。
心の声が出てしまう所だった。
「え?何…?心配してくれたのか?」
「断じてしてない。寧ろ、死んどけ。」